海・船・港は
魅力がいっぱい船員の仕事
船員の役割と分担
産業や暮らしを支えるさまざまな船も、それを動かす船員がいなければ、その役割を果たすことができません。
船員とは船に乗って働く人々のことを指し、職員(オフィサー)と部員(クルー)に分けられます。職員とは船長、機関長、通信長、航海士、機関士、通信士などを、部員とはその他の甲板員や機関員などをさします。職員は部員を指揮して船の運航全般にかかわり、部員は職員の指示のもとに、さまざまな仕事を行います。
外航貨物船の場合、職員と部員は、船の最高責任者である船長のもとに甲板部、機関部、事務部、無線部を構成し、それぞれの役割を分担します。
甲板部は一等航海士を中心に、運航から貨物の積みおろし、船体の整備など航海と荷役に関するほとんどを行います。一度航海に出れば船は休むことなく24時間走り続けますから、その間は航海士と部員が一組になって、4時間ずつ交代で船の運航を監視します。
機関部は機関長を中心に、エンジンやボイラーなどの運転・整備、燃料の補給、電気・冷暖房設備の管理などを行います。エンジンを常に故障なく動かし続けるには、保守点検作業が欠かせません。
事務部は船員の食事をつくることがおもな仕事です。食料の購入から調理までを行います。客船などでは、乗客へのサービス係もあてはまります。
無線部は陸上やほかの船との通信などが主な仕事です。現在の外航貨物船では、通信設備が進歩しているので、船長、一等航海士などが通信士の仕事を兼務しています。
船員への道
職員として船に乗り組むためには、海技資格を取得することが条件ですが、そのためには専門の教育を受けることが必要です。教育機関としては外航職員を養成する課程を持つ大学と商船学科がある高等専門学校、内航職員養成のための海上技術学校・短期大学校があります。
商船職員の養成を行う大学は東京海洋大学、神戸大学の2校があり、高校卒業者を対象に、外航船舶の職員になるための課程が設けられています。4年間学んだ後、卒業後に6カ月間の乗船実習期間があります。そこで帆船日本丸や海王丸などでの遠洋航海実習を行い、国家試験に合格すると3級海技士の免状を取得できます。船会社などに就職すれば、遠洋区域を走る船の3等航海士、または3等機関士として乗り組むことができます。
商船学科がある高等専門学校は全国に5校あり中学校卒業者を対象に5年半の課程を経て商船大学と同じ資格が取得できます。
海上技術学校・短期大学校は全国に8校あります。海上技術学校本科は、中学校卒業者を対象に修業年限が3カ年、後6カ月の乗船実習を経れば、4級海技士の国家試験受験資格が得られ、筆記試験が免除されます。同じく高等学校卒業者を対象とした修業年限2か年の海上技術短期大学校も卒業後すぐに同様の資格を得られます。
なお、部員として船舶に乗り組むためには、特に資格は必要ありません。